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プロが家を建てるなら何を重視する?

2026.10.6

おしゃれな家より大切なもの?住宅の専門家が考える「本当にお金をかけるべき場所」

家づくりを始めると、気になることがたくさんあります。

「キッチンは最新のものがいい」 「リビングは広くしたい」 「外観はSNSで見たようなおしゃれなデザインにしたい」

どれも素敵な希望ですよね😊

でも、ここで一つ質問です。

もし、住宅の構造や性能を熟知した建築士が、自分自身の家を建てるとしたら、何にお金をかけるのでしょうか?

実は、住宅の専門家が大切にする考え方の一つに、

「建てた後では、簡単に変えられない部分を優先する」

というものがあります。

今回は、住宅の安全性・快適性・耐久性・将来の維持費という4つの視点から、プロの考え方を一般の方にも分かりやすく解説します。

これから家を建てる方は、ぜひ参考にしてみてください🏠

① プロが最初に考えるのは「地盤と構造」

家づくりというと、間取りや外観から考え始める方も多いと思います。

しかし、住宅の安全性を考えるうえで欠かせないのが、建物を支える地盤・基礎・構造です。

なぜなら、これらは完成後に大きく変更することが難しい部分だからです。

例えば、

・キッチンは後から交換できる ・壁紙は張り替えられる ・照明も取り替えられる

でも、基礎や柱、梁などを大きく変更するとなると、簡単にはいきません。

だからこそ、最初の設計段階で十分な検討が必要になります。

🔍 耐震性能はどこまで考える?

住宅の耐震性能を示す指標に「耐震等級」があります。

簡単に整理すると、次のようになります。

・耐震等級1 建築基準法で求められる耐震性能。

・耐震等級2 等級1の1.25倍の地震力に対する性能。

・耐震等級3 等級1の1.5倍の地震力に対する性能。

※倍率は住宅性能表示制度における構造躯体の倒壊等防止の評価です。

住宅の専門家が自邸を建てる場合、耐震等級3を目標にする考え方があります。

さらに、柱や梁などにかかる力を詳しく検証する「許容応力度計算」を採用する方法もあります。

これは、建物にかかる地震や風などの力に対して、それぞれの部材が適切に耐えられるかを確認する計算方法です。

もちろん、耐震等級3であっても、すべての地震で無被害が保証されるわけではありません。

それでも、構造の安全性を設計段階で確認しておくことには、大きな意味があります。

👉 家の強さは、完成後の見た目だけでは判断できません。

② 断熱性能は「最低基準」で十分?

次に重視したいのが、断熱・気密性能です。

断熱性能とは、簡単に言えば、

「外の暑さや寒さを、室内に伝えにくくする性能」

のことです。

2025年4月から、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。

現在の最低基準は、断熱等性能等級4などです。

ただし、法律の最低基準を満たすことと、長期間快適に暮らせることは、必ずしも同じではありません。

住宅の専門家の間では、より高い断熱性能を目標にする考え方もあります。

🏠 断熱等級の違い

・等級4:2025年からの最低基準 ・等級5:ZEH水準(省エネ性能の高い住宅の目安) ・等級6:さらに高い断熱性能 ・等級7:現在の最高等級

例えば、断熱性能を高めることで、

✔ 冬の室内温度が下がりにくくなる ✔ 夏の外気の熱が伝わりにくくなる ✔ 冷暖房費の削減が期待できる ✔ 部屋ごとの温度差を小さくしやすい

といったメリットがあります。

また、断熱材の性能だけでなく、住宅の隙間を減らす「気密性能」も重要です。

どれだけ高性能な断熱材を使っても、隙間が多ければ、本来期待していた性能を十分に発揮できない可能性があります。

💡 断熱性能は、完成後に住宅全体を改修しようとすると大きな費用がかかる部分です。

新築時だからこそ、しっかり検討しておきたいですね。

③ おしゃれな外観より「雨に強い家」?

最近は、屋根の軒をほとんど出さない、シンプルでスタイリッシュな住宅も人気です。

いわゆる「軒ゼロ住宅」です。

見た目がすっきりしているため、デザイン面では魅力があります。

しかし、住宅の耐久性を考えると、軒には大切な役割があります。

☔ そもそも「軒」とは?

屋根が外壁よりも外側に張り出している部分のことです。

この軒があることで、

✔ 外壁に直接当たる雨を減らす ✔ 夏の強い日差しを遮る ✔ 外壁や窓周辺の劣化を抑えやすくする ✔ 雨漏りリスクの低減につながる

といった効果が期待できます。

例えば、敷地条件が許す場合、60cm程度の軒を設けることも一つの考え方です。

もちろん、軒がない住宅が必ず悪いわけではありません。

狭小地などでは、建物の形状や敷地条件によって軒を十分に確保できない場合もあります。

その場合は、屋根と外壁の接合部、防水処理、通気層などを丁寧に計画することが重要です。

👉 デザインを決めるときは、「10年後、20年後の維持管理」まで想像してみましょう。

④ プロは高級なキッチンを選ばない?

もちろん、キッチンや浴室の使いやすさも大切です。

ただし、住宅設備には寿命があります。

どれだけ高級な設備を導入しても、いつか交換する時期が訪れます。

一方、構造や断熱、防水性能は、簡単に取り替えられるものではありません。

そこで参考になるのが、次のような予算配分です。

💰 家づくりで考えたい優先順位

【優先度①】地盤・基礎・構造 住宅の安全性に関わる基本部分。

【優先度②】断熱・気密・窓の性能 毎日の快適性や光熱費に関わる部分。

【優先度③】屋根・外壁・防水性能 雨漏りや建物の劣化を防ぐための部分。

【優先度④】将来の修繕・間取り変更のしやすさ 長く住み続けるための工夫。

【優先度⑤】内装・住宅設備・照明など 比較的、後から交換・変更しやすい部分。

※これは、完成後の変更の難しさを基準とした考え方です。

例えば、予算が限られている場合。

高級キッチンへのグレードアップと断熱性能の向上で迷ったなら、後から変更しにくい断熱性能を先に検討する、という考え方があります。

もちろん、毎日使う設備の利便性も無視できません。

大切なのは、見た目やグレードだけで予算を使い切らないことです。

⑤ 建築費用は安い方がお得?

住宅会社を比較するとき、多くの方が気にするのが「坪単価」です。

しかし、この坪単価には注意が必要です。

例えば、同じ住宅でも、

・本体工事費だけで計算している ・付帯工事費まで含めている ・延床面積ではなく施工面積で計算している

といった違いがあります。

つまり、坪単価だけでは正確な比較ができない場合があるのです。

🔍 具体例で考えてみましょう

仮に、次の住宅があったとします。

・本体工事費:2,250万円 ・延床面積:30坪 ・施工面積:34坪 ・入居可能な状態までの工事費:2,800万円

この場合、計算方法によって坪単価は変わります。

【本体工事費 ÷ 施工面積】 2,250万円 ÷ 34坪 = 約66万円/坪

【本体工事費 ÷ 延床面積】 2,250万円 ÷ 30坪 = 75万円/坪

【入居可能工事費 ÷ 延床面積】 2,800万円 ÷ 30坪 = 約93万円/坪

同じ住宅なのに、これだけ数字が違います。

そのため、住宅会社を比較するときは、坪単価だけでなく、どこまでの工事が含まれているのかを確認することが重要です。

⑥ プロが考えるのは「30年後の住宅費用」

住宅の費用は、建築時だけでは終わりません。

住み始めてからも、さまざまなお金がかかります。

例えば、

・毎月の電気代やガス代 ・外壁や屋根のメンテナンス費用 ・給湯器や住宅設備の交換費用 ・将来のリフォーム費用

こうした費用も含めて考えることを、

「ライフサイクルコスト(LCC)」

といいます。

例えば、建築時に多少費用が増えても、断熱性能や外壁の耐久性を高めることで、長期的な支出を抑えられる場合があります。

反対に、建築費用を安く抑えられても、将来の修繕費や光熱費が大きくなる可能性もあります。

ただし、高額な材料や設備を選べば必ず維持費が安くなるわけではありません。

地域の気候や施工品質、点検・修繕の方法によっても結果は変わります。

👉 「今いくらで建てられるか」だけでなく、「30年間でいくらかかるか」という視点も持っておきたいですね。

🔍 プロの視点を取り入れるなら? 家づくりの確認リスト

住宅会社との打ち合わせでは、次の項目を確認してみましょう。

【構造・安全性】

□ 地盤調査の結果と基礎設計を確認したか □ 耐震等級と構造計算の方法を確認したか □ 構造計算書などの資料を確認できるか

【快適性・省エネ】

□ 断熱等級やUA値を確認したか □ 気密測定の実施有無を確認したか □ 窓や換気設備の仕様を確認したか

【耐久性・維持管理】

□ 屋根・外壁の防水対策を確認したか □ 将来の修繕費用を確認したか □ 設備や配管の交換がしやすい設計か

【資金計画】

□ 付帯工事・外構・諸費用を含めた総額か □ 入居後の光熱費や維持費も考慮しているか

すべてを最高仕様にする必要はありません。

大切なのは、自分たちの予算の中で、何を優先するべきかを理解しておくことです。

📝 まとめ|プロが重視するのは「完成した瞬間」よりも「その先の暮らし」

住宅の専門家が大切にする考え方は、必ずしも高級な家を建てることではありません。

地盤・構造・断熱・防水など、後から簡単に変更できない部分をしっかり計画すること。

そして、建築費だけでなく、長く住み続けるための維持費まで考えることです。

家は完成した日がゴールではなく、そこから何十年もの暮らしが始まります。

🏠 10年後、20年後も「この家を建ててよかった」と思えるように。

設備やデザインを決める前に、一度、住宅の基本性能にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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