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【空き家相続】他の相続人や共有者とのトラブルを防ぐには?

2024.4.25

相続した不動産が複数人の共有名義になっている場合、「売るにも使うにも話が進まない」「管理費や税金の負担でもめる」といったトラブルが起こりがちです。

実際、空き家をめぐる問題の多くは、

  • 所有権(持分)が不明確

  • 話し合い不足 が原因です。

この記事では、他の相続人や共有者とのトラブルを防ぐために大切なポイントを、具体的な方法とともに解説します。


1. まずは「今の共有状態」を正確に把握しよう

● 登記簿で共有者を確認する

不動産の登記簿を取得し、誰がどの割合で所有しているのかを確認しましょう。
登記が済んでいない場合は、まず相続人全員を特定することがスタートラインです。

● 遺産分割協議書を作成する

相続人全員の同意をもとに遺産分割協議書を作成し、可能であれば公正証書化しておくと安心です。
協議書がないまま共有状態が続くと、のちのち意見の食い違いが起きやすくなります。


2. 共有状態を解消する or ルールを明確にする

● 共有をやめて「単独所有」にする方法(分割の種類)

  • 現物分割: 土地を分筆してそれぞれが単独で所有

  • 換価分割: 不動産を売却し、代金を分配

  • 代償分割: 特定の相続人が取得し、他の人に代償金を支払う

将来的に空き家を活用する予定がないなら、換価分割がもっともスムーズです。


● 共有を続けるなら「ルールを文書化」

  • 税金や修繕費の分担を明確に(例:固定資産税は持分に応じて折半)

  • 将来の活用方針を共有(賃貸・売却・保管など)

  • 連絡・決定方法を定める(多数決?全会一致?など)

→ メモ程度でも構いませんが、共有者間の覚書や協議書として残すことで、のちの誤解を防げます。


3. コミュニケーションと専門家の力がカギ

● 定期的に連絡を取り合う

相続人同士で連絡をとらないまま時間が経つと、意見がまとまらずトラブルに発展しがちです。
グループLINEや定期連絡など、最低限のコミュニケーションを意識しましょう。

● 専門家のアドバイスを活用する

土地家屋調査士・司法書士・税理士などに相談すれば、登記や税金の手続き・分割方法について正確に案内してもらえます。

● 話し合いが難しいときは調停も検討

どうしても話が進まない場合は、家庭裁判所での調停手続きや弁護士を通じた協議も選択肢です。


4. 深刻なトラブルになる前にできること

  1. 遺産分割協議後は速やかに相続登記
    2024年4月以降、相続登記は義務化され、放置すると罰則(過料)があります。

  2. 共有はできるだけ避ける or 厳格なルールを決める
    共有状態はトラブルの温床。単独所有や売却などで解消を目指すのがベターです。

  3. 費用分担のルールを明記する
    修繕費や税金負担をあいまいにしておくと、後でもめる原因になります。


✅ まとめ|相続人・共有者トラブルを防ぐために

  • 所有者・持分を正確に把握する

  • 共有するならルールを文書化する

  • こまめな連絡専門家の活用が円滑な解決への近道

空き家は放置すると感情のもつれや金銭トラブルにつながることが多いため、
「そのうち何とかしよう」ではなく、できるだけ早期に共有状態の整理を進めましょう。

執筆:空き土地家屋調査士 山田 大貴

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