空き家を放置するとどうなる?知らないと損する法律的リスクとは
近年、空き家の増加が社会問題となっています。
「実家が空き家になったけど、どうしていいかわからない」
「しばらく放置しても大丈夫でしょ?」
そんなふうに思っていませんか?
実は、空き家を放置することで、あなたに重大な法律的リスクが降りかかる可能性があるんです。この記事では、空き家を放置した場合に起こりうるリスクや、その対策についてわかりやすく解説します。
1. 空き家が「特定空き家」に指定されるリスク
空き家の管理を怠ると、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特措法)」により「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家の主な判断基準
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建物が傾いていたり、倒壊の危険がある
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ゴミの放置や不法投棄がある
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害虫や害獣が発生して衛生上の問題がある
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地域の景観を損ねている
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長期間まったく管理されていない
指定されるとどうなる?
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行政から改善の「指導」「勧告」「命令」が出されます
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命令に従わないと、最大50万円の過料
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最悪の場合、**行政代執行(強制撤去)**が行われ、その費用は所有者に請求されます
2. 固定資産税が最大6倍に!
本来、住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が軽減されています。
しかし「特定空き家」に指定されるとこの特例が解除され、固定資産税が最大6倍になることも。
「空き家をそのままにしているだけで、税金がこんなに!?」
と、後悔する前に、しっかり管理することが大切です。
3. 近隣トラブルの原因にも
空き家は周辺住民にとっても頭の痛い存在です。次のようなトラブルを招くおそれがあります。
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建物の倒壊で通行人や隣家に被害 → 損害賠償責任
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不法侵入や放火などの犯罪の温床に
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シロアリ・ネズミ・野良猫などの害虫・害獣が繁殖
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見た目が悪くなり、地域の資産価値が低下
放置すればするほど、周囲との関係悪化につながるリスクが高まります。
4. 売却や相続のときに困る
空き家を「そのうち売ろう」と思っていても、放置していると次のようなトラブルが。
相続登記は義務に(2024年4月~)
相続した空き家を3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
売却が難しくなる
老朽化した建物は解体費用がかかるため、買い手がつきにくくなります。
特定空き家に指定されていれば、税金も高く、ますます売れません。
5. 空き家のリスク、どう対策すればいい?
では、空き家を放置せずにどう管理すればよいのでしょうか?
✅ 定期的な点検・清掃をする(最低でも年1~2回)
✅ 売却や賃貸の活用を検討する(自治体の「空き家バンク」なども活用)
✅ 解体・更地化も視野に入れる(固定資産税は上がるが、リスクは減)
✅ 専門家に相談する(司法書士、土地家屋調査士、不動産業者など)
まとめ|空き家は“放置”が一番のリスク
空き家は「持っているだけ」で思わぬトラブルや費用が発生する時代です。
「何もしていない」のではなく、「何もできなくなる前に動く」ことが重要。
将来の安心のためにも、今できる対策から始めてみましょう!
執筆:空き土地家屋調査士 山田 大貴