贈与と登記:親から子へ、不動産をスムーズに引き継ぐために
「親名義の土地を、自分の名義に変えたい」
「相続よりも贈与のほうがいいのかな?」
こうした声を耳にすることが増えてきました。
親から子へ不動産を贈与することは、相続トラブルの防止や節税対策としても注目されています。
ただし、贈与には登記手続きと贈与税の申告が必要です。
手順を誤ると、思わぬ税負担や名義変更の遅れにつながることも。
この記事では、不動産の贈与に関する「登記」と「税金」の基本を、
Q&A形式でやさしく解説します。
Q1. 不動産の贈与を受けたら、登記は必ず必要?
A. はい、贈与を受けた不動産は名義変更の登記が必要です。
不動産の所有者を正式に変更するには、
法務局での所有権移転登記が欠かせません。
登記をしないままでは、
・贈与が第三者に対して無効とされる
・相続や売却がスムーズに進まない
といったトラブルになる可能性もあります。
Q2. 登記に必要な書類は何がありますか?
A. 贈与者(親)・受贈者(子)で用意すべき書類があります。
📌 贈与者(親)側
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贈与契約書(または登記原因証明情報)
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登記識別情報(旧:権利証)
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印鑑証明書(3か月以内)
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固定資産評価証明書(最新年度のもの)
📌 受贈者(子)側
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住民票
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(必要に応じて)戸籍謄本や課税証明書など
Q3. 登録免許税や贈与税はどれくらいかかるの?
A. 登録免許税は固定資産評価額の「2%」、贈与税は「110万円超」から課税されます。
たとえば…
固定資産評価額:3,000万円
登録免許税:60万円(=評価額×2%)
贈与税は、1年間の贈与額が110万円を超える部分に課税され、
10〜55%の累進税率が適用されます。
高額の贈与では、贈与税だけで数百万円になるケースもあるため要注意です。
Q4. 贈与税を抑える特例はありますか?
A. 条件を満たせば、以下のような特例が利用できます。
✅ 住宅取得等資金の非課税制度
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親・祖父母からの住宅資金の贈与に使える
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一般住宅:500万円、省エネ住宅:最大1,000万円まで非課税
✅ 配偶者控除
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婚姻20年以上の夫婦間での居住用不動産贈与
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通常の110万円に加えて、2,000万円まで非課税
✅ 相続時精算課税制度
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親(60歳以上)→子(18歳以上)で選択可能
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2,500万円まで非課税、超過部分は一律20%課税
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将来の相続財産に加算される
Q5. 実務で気をつけるべきことは?
A. 次の3点に要注意です。
🕒 登記は早めに!
登記を先延ばしにすると、贈与者の認知症や死亡によって
手続きが複雑化する恐れがあります。
📅 贈与税の申告期限
贈与を受けた翌年「2月1日〜3月15日」が申告・納税期限です。
特例を使う場合も同じ期限内で申告が必要です。
📁 書類管理も忘れずに
登記書類は原則返却されません。
コピー保存と原本還付の手続きを忘れずに。
まとめ
不動産の贈与には、
**「登記」と「贈与税の申告」**という2つの重要な手続きがあります。
早めの準備と、特例の正しい活用で
スムーズかつ安心な名義変更が可能になります。
📌 将来の相続に備えて、今のうちに名義の確認をしておきましょう!