【空き家の近隣トラブル】倒壊・雑草・害獣…その責任、誰が負うの?
空き家を所有していると、気になるのが「近隣とのトラブル」。
老朽化による倒壊、雑草の繁茂、害獣の発生など、放置しているとさまざまな問題が起こり得ます。
そして、その責任は「所有者」にあることを忘れてはいけません。
今回は、空き家にまつわる近隣トラブルと、その法的責任、そして具体的な対策について解説します。
- 空き家の「管理責任」とは?
民法717条(工作物責任)では、建物の倒壊などにより他人に損害を与えた場合、所有者はその責任を負うと定められています。
また、建物の倒壊だけでなく、「雑草の繁茂」や「害獣の発生」なども管理不十分と判断されれば、法的責任が問われる可能性があります。
- 近隣トラブルの具体例と責任の範囲
① 倒壊・屋根や外壁の崩落
こんなケースは注意!
- 強風で屋根が飛び、通行人にケガをさせた
- 老朽化した空き家が倒壊し、隣家を破損させた
これらは、所有者が適切に管理していなかったとみなされると、損害賠償責任が発生します。
仮に過失がなかった場合でも、「工作物責任」により責任を負う可能性があります。
対策としては:
✔ 定期的な点検・補修を行う
✔ 老朽化が著しい場合は解体を検討
✔ 火災保険・損害賠償保険に加入しておく
② 雑草の繁茂・ゴミの放置
こんなケースは要注意!
- 隣地に雑草が侵入し、トラブルに
- 枯れ木が隣家に倒れて損害を与えた
- 敷地がゴミだらけで、不法投棄の温床に
このような状況になると、近隣からの苦情により、自治体からの「指導」や「勧告」が入ることがあります。
場合によっては、「行政代執行」により強制的に除去され、費用は所有者負担となることも。
対策としては:
✔ 年に1~2回は草刈りや清掃を行う
✔ 定期的な現地確認で異変をチェック
✔ 管理が難しい場合は、業者に委託も検討
③ 害獣(ネズミ・ハチ・野良猫など)の発生
こんな被害も…
- 空き家にネズミやハチが発生し、近隣住民に被害
- 野良猫が住み着き、糞尿や鳴き声トラブル
これらの問題でも、所有者が「不法行為責任」(民法709条)を問われるケースがあります。
また、行政からの指導が入ることもあります。
対策としては:
✔ 家屋内に定期的に立ち入り、異常がないか確認
✔ 害獣駆除や消毒の業者を活用
✔ 建物に穴や隙間がないか定期的にチェック
- 近隣トラブルを防ぐために今すぐできること
空き家は、放置しているだけで大きなリスクになります。
だからこそ、「管理は所有者の責任」という意識を持ち、早めの対策を行いましょう。
✅ すぐに始められる5つのポイント
- 定期的な巡回・管理(最低でも年1~2回)
- 草刈りやゴミの除去で清潔に保つ
- 老朽化した部分の修繕や解体を検討
- 火災保険・損害賠償保険に加入する
- 空き家の売却や賃貸などの活用を考える
- トラブルが起きてしまったら?
それでもトラブルが発生してしまったら、一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
- 自治体の「空き家相談窓口」
- 土地家屋調査士や弁護士などの専門家
- 解決が難しい場合は、裁判所の調停手続きの活用も
まとめ
- 空き家の倒壊・雑草・害獣などの問題は、所有者が責任を問われる可能性があります
- 放置していると、損害賠償責任や行政代執行といったリスクも
- 定期的な管理と、専門家への相談でトラブルを未然に防ぎましょう。
空き家は、放っておくほどリスクが高まります。今すぐできる管理を始めましょう。
執筆者:空き土地家屋調査士 山田大貴